広報とは?目的と7つの活動手段
公開日:2021/12/01 最終更新日:2023/08/25
関係者やユーザーとの関係構築において重要な役割となる広報活動。
プレスリリースを配信したり、イベントを行ったりすることが広報活動と思われがちですが、その他にも広報活動を行う手段は様々です。
本記事では様々な広報活動の手段を紹介するとともに、広報活動の担当者が悩みがちな課題を紹介していきます。
予め多くの方が広報活動をはじめてから悩むを知っておくことで、適切な手段を選び、効率的な広報活動に活かせます。
広報活動の参考にしてみてください。
目次
広報とは?
広報は「PR」と表現されることもありますが、PRとは、”Public Relations”の略で「Public=一般の人々」と「Relations=関係性」をつくるという意味です。
企業はさまざまな経済活動をしていますが、より円滑に企業活動を遂行するためには、自社の活動内容を正しく社会に認識してもらい、認知や印象、つまり信頼を構築していくことが重要となります。
企業における広報活動の目的は継続的な対話関係を作り、関係者との信頼を構築していくことになります。関係性を作ることが広報活動の目的となり、ただ発信することは広報活動ではないという点は共通認識として持っておきましょう。
企業が広報活動をする意味
企業が広報活動をする際には、主に以下の3つが目的とされます。
①ブランディングの推進・確立
②メディアリレーションズを築く
③ステークホルダーとの関係性構築
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ブランディングの推進・確立
広報には自社のブランディングを推進し確立していく役割があります。
広報活動を通じて、自社が社会のなかでどのような役割を果たしているのか、どのような理念や活動目的を掲げて活動しているのかを社会に共有していきます。
これはまさに自社のブランドイメージを形成していく活動であるため、一貫したコミュニケーションを継続的に行う必要があります。
ブランドイメージの構築、ブランディングには長い時間を要し労力も必要となりますが、最終的には競合他社との差別化、企業文化の醸成に役立ちます。また従業員の自社へのエンゲージメント強化にも繋がります。
[関連記事]ブランディングとは?メリットを解説
メディアリレーションズを築く
メディアリレーションズの構築と結果としての認知拡大は広報の重要な役割です。
メディアの調査や研究、電話やメール・対面でのメディア関係者とのコミュニケーション。プレスリリースの送付やメディアキャラバン、取材対応など、対メディアの関係構築を総称してメディアリレーションズと呼びます。
広報活動と言ったときに最もイメージがされやすい役割の1つかもしれません。
[関連記事]メディアリレーションズとは?やり方を解説
ステークホルダーとの関係性構築
広報はただ一方的に発信するだけではなく、自社とメディア、自社と顧客など、各ステークホルダーと双方向でコミュニケーションを取る役割があります。
情報発信をするだけではなく、自然と情報が集まってくる仕組みをつくるなど、役割は多岐に渡るもの。
広報=情報発信とだけ定義せず、自社とステークホルダーとの間でハブの役割を担っていると考えるようにしましょう。
広報活動を行う具体的な手段
広報活動とはどのような目的で行われるものなのかについてはここまでで紹介してきました。
目的を明確にし実行していくためには手段も必要です。そこでここからは具体的な広報活動の手段について紹介していきます。
広報活動の手段にはそれぞれ特徴があります。
様々な手法を組み合わせることで、目的の達成に近づきますので、広報活動が点にならないように、様々な手法を組み合わせながら計画的な広報活動に活かしてください。
プレスリリースの作成・配信
広報において重要な仕事の1つにプレスリリースの作成、配信があります。
プレスリリースは、各種メディアからの問い合わせにつながる重要な役割を果たします。
自社が発表する情報を抜け漏れなく、正確に、問い合わせ先も明確にするのはもちろんのこと、社会性が高い情報を発信することも心がけましょう。
また発信においては、いつ、どこで、誰に向けて発信をするのかも重要です。一斉配信サービスを利用すれば簡単に配信することもできますが、場合によっては一斉配信よりも直接メディアに届ける方が効果的な場合もあります。
発信する情報、届けたい相手によって掲載する情報や発信方法を検討するようにしましょう。
プレスリリースの作成方法を知りたい方はこちらもご確認ください。PR会社でも使っているノウハウを紹介しています。
▶プレスリリースとは?書き方のコツと作成時の注意点
記者会見の実施
新商品やサービスの発表において記者会見を実施するのは有効な手段です。
実施までには会場手配、会場準備、キャスティングなど複合的な準備が必要になるものの、メディアの目に止まれば、大きな露出が見込めます。
しかし費用がかかる面は否めません。確実な結果に近づけるよう、社会や生活者の関心事はどんなことなのか、何をすれば興味を集めることができるかなど、結果を意識して企画するようにしましょう。
イベント開催
記者会見はメディア向けに行うイベントですが、一般の方向けにイベントを行うことも広報活動として有効です。
こちらも記者会見と同様に多額の費用がかかる場合が多いですが、うまくいった場合は効果は大きいです。
コーポレートサイト(自社ホームページ)での情報発信
プレスリリースや記者会見の実施など外部への情報発信と合わせて、自社のホームページなどのwebページで情報を発信することも重要な広報活動です。
外部への情報発信の結果、自社の商品やサービス、または自社自体に興味を持ってもらえた場合に、多くの方は企業名やサービス名で検索をして、コーポレートサイトにアクセスをします。その際に情報が更新されていないと困ってしまうだけではなく、信頼が失われてしまう可能性もあります。
コーポレートサイトでは適切な情報を、適切な頻度で更新し、ユーザーとの信頼関係を構築するようにしましょう。
自社SNSの運用
組織としてSNSのを運用することも広報活動には有効に活用できます。情報発信をすることはもちろんのこと、ユーザーの声にも反応をすることで関係性の構築にも役立ちます。
一方で発信内容に明確なルールや、統一感がないとブランド価値が毀損してしまう可能性や、炎上に繋がってしまう可能性もあります。
広報担当者がSNSを運用する場合も、そうでない場合であっても運用を開始する前にルールや共通認識をしっかりと持っておきましょう。
[関連記事]企業や仕事で使える情報発信方法まとめ
ブログ・オウンドメディアの運営
コーポレートサイトや公式SNS以外にもブログやオウンドメディアという形で情報発信を行うことも可能です。
発信する内容によっては、今まで関係性を築けていなかった方と関係を築くことも可能。発信内容としては、自社の採用活動、自社制度についての解説、自社の専門領域についてのノウハウの提供など、色々な内容で行うことができます。
しかしSNSと同様に、何を目的としてどんなルールで行うかを決めることが重要です。目的を明確に持っていない情報発信は時間を無駄にするだけではなく、信頼を失う可能性すらありますので注意しましょう。
社内報の制作
インナーコミュニケーション(社内向けの情報発信)に役立つのが社内報です。広報という体外的な情報発信に目が行きがちですが、組織の活性化、理念の浸透、エンゲージメント向上には社員に向けても情報発信も非常に重要です。
目的によって
・webツールを使うのか冊子で発行するのか
・インタビューを実施するのか、アンケートを取るのか
・社長に取材をするのか、社員にインタビューをするのか
など、考えるべきことは多いですが、社員間のコミュニケーション向上に社内報は非常に有効です。
本来は名前の通り社内向けに制作する社内報ですが、場合によっては社外に公開することも広報活動に役立ちます。予め社外に発信することを想定して作る必要がありますので、社外向けにも活用したい場合は、計画をしっかりと立てるようにしましょう。
広報活動の担当者の多くが抱える3つの課題
これから紹介する課題は、弊社が支援してきた企業の広報において、多くの企業が抱えていた課題点です。
これらの要因を1つずつ取り除くことで、自社がいまどのような広報活動を実施するべきなのか明確化できます。
広報活動の目的・ゴールが曖昧
特に多いのが、広報活動の目的・ゴールが曖昧なまま、勘や想いに頼った”なんとなく”の広報活動をしているケースです。広報部門・広報担当者は、情報発信を行う目的を明確にしたうえで有用な情報を収集できる体制の構築に取り組む必要があります。
商材の認知度アップ、ブランドイメージの普及、採用活動への応募者増加など、広報活動が目的とする成果はさまざまでしょう。
ここで大切なのは、どのような状態になったら広報活動が「成功した」といえるのか、なるべく具体的に設定しておくことです。
以下に例として様々なシチュエーションをあげてみました。
シチューション | 成功の定義(目標) |
商材の認知度アップ | SNSでの投稿がどれだけ拡散されたか |
ブランドイメージの普及 | 定点のアンケート調査の結果で判断 |
採用活動における応募者増加 | 応募者数 |
上記のように定量的な数値でもってゴール設定をしておくと、それを達成するためのプロセス=活動を考えやすくなります。
また定量的に目標を定めておくことで、次回アクションも考えやすくなります。
活動計画(ロードマップ)が無い・不十分
目的・ゴールが曖昧であることに加えて多いのが、戦略的な活動計画(ロードマップ)が無い、または不十分であるケースです。
企業によっては、数ヶ月~数年単位での中長期的な計画表・スケジュールが存在しないという広報部門も珍しくなく、上司・経営層から不満を持たれていることもしばしばあるようです。
広報活動も、他の企業活動と同様に目的を達成するためには戦略が必須です。
基本的に、広報活動は単発で大きな効果を得ることはありません。ターゲットに対して適切なかたちで自社のメッセージを発信し続ける継続性が重要な分野です。
例えば、売上向上を最終ゴールとして設定し、その達成プロセスにブランディング戦略を置いたとします。
この場合、まずは売上向上に繋がるブランドイメージがどのようなものであるか考えて、そのイメージをターゲットに定着させる具体的な手段・手法を考えねばなりません。
マスメディアの活用、SNSの活用、イベント企画や宣伝企画など、広報分野での手段だけでもさまざまあります。
広報担当者が売上向上を達成するためには、カスタマーエクスペリエンスの全体像を把握したうえで、購買までのフェーズ毎にどのようなチャネルで情報訴求を行っていけば、意図したブランドイメージが定着しターゲットが購買に至るのか考えながら、適切な手段での情報発信スケジュールを設定していく必要があります。
広報活動を成功に導くためには、このような緻密な戦略設計が欠かせないのです。
これを広報部門の中長期的な活動計画として明文化しておくことで、広報担当者は目的達成までにどのような活動を行えばよいのか必然的に掴めるようになります。
広報の年間計画、ロードマップ作成方法を知りたい方は以下を読んでみてください。
▶PR・広報担当者向け|年間広報計画・活動ロードマップの作成方法
ノウハウ・経験・リソースが不足している
また、ノウハウ・経験・リソースが不足していることで活動の選択肢が狭まってしまい、どんな活動をしたら良いのか分からなくなっているケースもあります。
上述の活動計画を立てたり、企画した広報活動を実行に移したりする上で、ノウハウ・経験・リソースは欠かせません。1つでも不足していることで、そもそも充分な戦略設計を行えなかったり、実施した広報活動の効果が思うように出なかったりといった事態が考えられます。
具体的には、イベント運営や集客のノウハウがなく企画が立てられないなどといった状況です。
そうなると、自社が実施できる広報活動の幅に制約が生まれ、どんな広報活動を行うか自由に選択できなくなってしまいます。
ノウハウ・経験・リソースを高めるためには、広報担当歴の長い人物や書籍等で出回っているケーススタディから学んだり、広報担当者との情報交換を兼ねた勉強会に参加して人脈を拡大したりといったアクションが必要です。
ただし、このような活動でノウハウ・経験・リソースを身につけるのはなかなか時間も掛かりますし、独学で粘り強く知見を蓄積する苦労が必要です。
広報活動の手段は様々
ここまで色々な広報の手段を紹介してきましたが、あくまで一例であり、代表的な手段です。広報の方法は各企業によって様々な手法が取られています。
広報の手段はあくまで方法です。会社の目的に対してどの方法を選択し実施するか、また効果を検証し、次にどう活かすかが重要です。1つの手段にとらわれることなく、様々な方法を活用、模索し広報活動をしてみてください。
もし広報活動についてなにかお悩みのことがあれば、ぜひ弊社にお問い合わせください。最適な広報の手段のご提案はもちろん、年間計画などもお手伝いさせていただきます。
「PR・広報 業務代行サービス」に関するお問合せ・資料請求はこちら
関連サービスのご紹介