vol.2:デプスインタビューのメリットとデメリット。深掘り調査のリアル🔍
公開日:2025/11/17 最終更新日:2025/11/17
マーケティングやリサーチの現場で近年よく聞かれるようになった デプスインタビュー。
1対1で丁寧に話を聞くこの手法は、表面的なデータでは捉えきれない 本音やインサイト を引き出せるとして注目されています。
一方で、時間やコストがかかるといった課題もあります。
この記事では、デプスインタビューの基本から特徴、メリット・デメリット、活用する際のポイントまで初心者の方でも理解しやすいようにまとめました。
🤔デプスインタビューとは?
デプスインタビューは、調査対象者と 1対1でじっくり対話する形式 のインタビューです。
グループ調査では得にくい、より深い洞察 を得られるのが大きな特徴です。
1対1だからこそ、対象者はリラックスしやすく、自分の考えや感情を率直に語ってくれます。
インタビューアーも、その場の流れに合わせて質問を柔軟に変えたり、深掘りしたりできます。
新商品の開発やターゲット顧客の心理を探るときなど、対象者の言葉の裏にある 本音や理由 を明らかにするのに特に有効です。
👤デプスインタビューが活躍する場面
デプスインタビューは、具体的にどのような場面で活躍するのでしょうか?ここでは代表的なケースをいくつかご紹介します。
💡新しいアイデアを生みたいとき
新商品やサービスを企画する際、消費者の潜在的な不満やニーズを理解することは欠かせません。
デプスインタビューでは、表面的な回答ではなく
単に「どう思ったか」ではなく、 その感情が生まれた背景や理由 に踏み込み、行動の根本要因を探ることが可能です。
広告やプロモーション施策に有益なデータを得られます。
を深く聞き出すことで、価値あるインサイトが得られます。
👤特定のターゲットを深く理解したいとき
デプスインタビューは、特定の層に絞った調査にも適しています。たとえば、若い世代やシニア層など、それぞれの価値観や行動パターンをじっくりと探ることで、ターゲティング精度を高めることができます。
❤️感情の背景を知りたいとき
単に「どう思ったか?」だけではなく、その背景や理由に踏み込むことで、行動の根本原因を見つけることができます。これにより、広告やプロモーションの企画に役立つデータを収集できます。
このように、デプスインタビューは数字や統計だけでは見えてこない人々の「本音」に迫ることができる手法です。特に、定性的なデータが求められる場面では、その威力を最大限に発揮します。
☝️注目!デプスインタビューのメリット
デプスインタビューは、1対1でじっくりと話を聞くスタイルだからこそ、特別なメリットを持っています。
この手法を活用することで、他の調査方法では得られない価値ある情報を引き出せるのです。
1.深い洞察が得られる
デプスインタビューの最大の魅力は、対象者の「本音」や「心の奥底にある思い」を知ることができる点です。
アンケートのように形式的な回答だけでなく、その理由や背景まで掘り下げることで、より深い洞察を得ることができます。
たとえば、「なぜこの商品を選んだのか?」という問いに対して、「便利だから」という答えだけでは終わらず、「どのように便利だと感じたのか」や「他の商品では感じられなかったポイントは何か」を具体的に聞き出すことができます。
2.柔軟に質問を変えられる
対話形式のため、相手の回答に合わせてその場で質問を調整できます。これにより、事前に用意した質問だけではなく、会話の流れに沿ってより具体的な情報や新しい視点を引き出すことが可能です。
たとえば、意外な回答が出たときに「それはどういう意味ですか?」と深掘りすることで、調査設計時には想定していなかった重要なインサイトを得ることがあります。
3.リラックスした環境で本音を引き出せる
1対1の対話は、グループでの調査よりもリラックスした雰囲気を作りやすいです。そのため、対象者は自分の考えをより素直に話しやすくなります。特に、デリケートなテーマや個人的な話題を扱う場合、この安心感は重要です。
また、言葉だけではなく、話しているときの表情や声のトーン、ためらいなども観察することで、回答の裏側にある本音を感じ取ることができます。これにより、データに深みが加わります。
4.豊富な定性データが手に入る
数字や選択肢では表現しきれない感情や意見を聞き取れるのも、デプスインタビューならではです。「何が好きか」だけでなく、「なぜ好きか」や「どんなシーンでその感情が生まれるか」といった詳細なデータを収集できます。
⚠️注目!デプスインタビューのデメリット
デプスインタビューは非常に有効な手法ですが、万能ではありません。他の調査方法と同様に、いくつかのデメリットや課題があります。これらを理解しておくことで、より適切に活用できるようになります。
1.実施に時間と手間がかかる
1対1で行うインタビューは、対象者ごとに時間を確保する必要があるため、どうしても調査全体にかかる時間が長くなります。また、インタビューの準備や後のデータ整理、分析にも手間がかかります。特に、多くの対象者から意見を集めたい場合には非効率になることがあります。
例えば、10人分のデプスインタビューを行うとそれぞれ1時間程度の時間が必要になるだけでなく、その内容を分析するためにさらに数倍の時間が必要になることもあります。
2.コストが高くなりがち
デプスインタビューでは、対象者ごとにインタビューを実施するため、進行役や対象者への謝礼、会場費用などのコストが積み重なりやすいです。さらに、プロのインタビュアーを雇う場合には、それに伴う費用も考慮する必要があります。
大規模な調査では、アンケートやオンライン調査と比べて費用対効果が低くなることがあるため、予算に合わせた慎重な計画が求められます。
3.結果が偏る可能性がある
インタビューは深く掘り下げる形式のため、個々の対象者の意見がデータに大きく影響を与えることがあります。そのため、サンプル数が少ない場合には、特定の人の考え方や背景に偏った結果になりやすい点に注意が必要です。
また、対象者がインタビュアーを意識して、無意識のうちに「好印象を与える」回答をしてしまう場合もあり、本音が引き出せないこともあります。
4.データ分析が難しい
デプスインタビューで得られるデータは、文字や会話の記録など定性的なものが中心です。そのため、アンケートのように数値化されたデータと比べると、分析に手間がかかります。また、インタビュアーや分析者の主観が入る余地もあり、結果の解釈が難しいことがあります。
これを補うために、複数の分析者でデータを確認したり、他の調査手法と組み合わせたりする必要があります。
🙌デプスインタビューの進め方
デプスインタビューを成功させるためには、事前準備からインタビューの実施、データ分析まで、しっかりとした計画が必要です。それぞれのステップを押さえることで、調査の質がぐっと高まります。ここでは、デプスインタビューの進め方を段階ごとに詳しく解説します。
1. 調査の目的を明確にする
まず最初に、「何を知りたいのか?」をはっきりさせることが重要です。調査の目的やテーマを曖昧にしたままだと、インタビュー内容がブレてしまい、必要なデータを得られないことがあります。
例えば、新商品のターゲット顧客の価値観を深掘りしたいのか、既存サービスの改善点を探りたいのかを具体的に定めておきましょう。目的が明確であれば、質問の設計もしやすくなります。
2. 対象者を選定する
次に、インタビューの対象者を選びます。ここで重要なのは、目的に合った属性を持つ人を選ぶことです。たとえば、20代女性向けのスキンケア商品に関する調査なら、その商品を使いそうな20代女性を対象者とします。
また、調査結果に偏りが出ないように、対象者の属性(性別、年齢、職業など)が偏らないよう配慮しましょう。
3. 質問ガイドを作成する
デプスインタビューでは、その場の流れで自由に質問を進めることもありますが、事前に質問ガイドを準備しておくとスムーズです。質問ガイドには、次のような内容を含めましょう。
- 導入部分の質問(リラックスさせるための雑談や簡単な質問)
- 調査の核心に迫る質問(具体的な経験や感情を引き出す質問)
- 終了時の質問(まとめや追加のコメントを促す質問)
質問はオープンエンド形式(自由に答えられる形式)を基本にすると、より多くの情報を引き出せます。
4. インタビューを実施する
インタビュー当日は、対象者がリラックスできる環境を用意することが大切です。静かで落ち着いた場所を選び、進行役が親しみやすい雰囲気を作ることで、対象者も安心して話しやすくなります。
進行中は、相手の話を遮らずに聞き、必要に応じて質問を掘り下げていきます。また、表情や声のトーンなど、言葉以外の反応にも注意を払いましょう。
5. データを整理・分析する
インタビューが終わったら、収集したデータを整理します。録音データやメモをもとに、どのような意見や感情が多かったのか、共通点や相違点を探ります。
分析のポイントは、インタビューで得られた情報をそのまま受け取るのではなく、「なぜその意見が出たのか?」を考えることです。背景や文脈を深掘りすることで、より価値あるインサイトを見つけることができます。
📌まとめ
デプスインタビューは、消費者の本音や深層心理を探るのに非常に効果的な手法です。1対1の対話を通じて、数字や選択肢では捉えきれない価値ある情報を引き出すことができます。しかし、その分時間やコスト、分析の難しさといった課題もあるため、適切な準備と計画が不可欠です。
この記事で紹介したメリットやデメリットを参考に、ぜひ自分のプロジェクトや調査に活用してみてください。
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