会場調査(CLT)とは?メリットや実施方法
公開日:2024/10/23 最終更新日:2024/10/25
会場調査(CLT)は、消費者の生の声をリアルな場で直接収集できる調査手法です。商品やサービスの試用や広告の評価を、その場で体験してもらいながら意見を聞くため、オンライン調査では得られない深いインサイトを引き出せることが特徴です。
本記事では、会場調査(CLT)の基本的な概要、メリット、そして実施方法について詳しく解説します。これから会場調査を検討している方や、マーケティング戦略に生かしたい方に役立つ内容をお届けします。
目次
会場調査(CLT)とは
会場調査(CLT)とは、消費者の意見や反応を直接確認するために、特定の場所に集めた参加者に対して行う調査方法です。英語では「Central Location Test」と呼ばれ、通常、商業施設や貸し会議室など、人が集まりやすい場所で実施されます。
この調査の特徴は、参加者に商品やサービスを実際に体験してもらい、その場で感想や意見を聞くことができる点です。例えば、新しい商品の試食や試飲、広告やパッケージデザインの評価など、さまざまな分野で活用されます。
会場調査のメリットは、リアルな環境で消費者の本音を収集できることです。オンライン調査とは異なり、実際に目の前で反応を確認できるため、より深いインサイトを得ることができます。質問に対する回答だけでなく、表情や態度など、非言語的な要素も観察できる点が非常に有益です。
さらに、調査後にその場で追加の質問を行ったり、フォローアップのインタビューを実施したりすることも可能です。これにより、特定の意見の裏側にある理由や感情をより詳しく理解することができ、データの質が向上します。
一方で、会場調査には準備やコストがかかるというデメリットもありますが、消費者の生の反応を得たい場合には非常に有効な手法です。
会場調査に向いた調査は?
会場調査に向いている調査は、実際に商品やサービスを体験してもらい、その反応を直に確認したい場合です。特に、商品そのものに触れたり、視覚的・嗅覚的な要素を評価してもらう必要がある場合には最適です。
例えば、試食や試飲の調査では、参加者がその場で味や香り、食感を確かめられるため、よりリアルなフィードバックが得られます。新商品の試食イベントや、飲料のテイスト比較をするようなシーンでは、オンライン調査では得られない、実際の体験に基づく反応が収集できます。
また、広告やパッケージデザイン、テレビCMの評価など、視覚的な要素が重要な調査も、会場調査に向いています。参加者に実際のデザインを見てもらい、その印象や感想を聞くことで、より深い理解が得られるのです。複数のデザイン案を並べて比較してもらうことで、最も効果的なものを選ぶ際の参考にもなります。
さらに、新技術や家電製品のデモンストレーションも、会場調査ではよく行われる調査の一つです。実際に操作してみてどう感じたか、使いやすさや直感的な印象を、その場で確認できるため、製品改良に役立つリアルな意見を得られます。
このように、会場調査に向いた調査は、視覚、聴覚、触覚など、五感を活かしたリアルな体験を重視するものが中心です。消費者の直感的な反応や、オンラインでは得られない細かな感覚を捉えることができるのが大きな強みです。
会場調査のメリット
会場調査には、他の調査方法とは違った魅力的なメリットが多くあります。直接参加者に触れてもらい、リアルな反応をその場で集められるため、より正確で有益なデータが得られるのが大きなポイントです。ここでは、具体的なメリットをいくつかご紹介します。
試用条件を統一できる
会場調査の大きな強みは、全ての参加者が同じ条件下で商品やサービスを体験できることです。たとえば、新しい飲料のテイスト調査を行う場合、全員が同じ温度や量で試飲できるため、条件の違いによる偏りが発生しません。これは、消費者が自宅で商品を試す場合には得られない、一貫したデータを確保できるというメリットになります。
この統一された環境は、より客観的で信頼性の高いフィードバックを得るのに最適です。結果として、調査の精度が向上し、分析結果も信頼性が増すのです。
消費者のリアルな反応を確認できる
会場調査では、商品やサービスを試した直後に、その反応を目の前で確認できます。オンライン調査やアンケートでは得られない、表情や仕草といったリアルタイムの反応を観察できるため、単に言葉だけでは伝わらない感情や印象も捉えることができます。
たとえば、ある新商品を試食してもらった際に、驚いた表情や思わず笑顔になる瞬間など、そういった瞬間的な反応は非常に価値があります。これにより、参加者の本音や直感的な意見を得やすくなり、データの質がぐっと高まります。
機密性を担保できる
会場調査のもう一つの大きなメリットは、調査内容や新商品の情報を外部に漏らすリスクを最小限に抑えられることです。例えば、新商品の発売前に秘密裏に評価を行いたい場合、参加者を特定の場所に集め、外部に情報が漏れないように管理することで、情報の流出を防ぐことができます。
上記のようなメリットがある一方で、会場調査の場合は普段の生活環境とは異なるため、一定期間継続して使ってもらっての意見を集めたい調査には向きません。自宅で一定期間使ってもらう場合はHUT(ホームユーステスト)が向いていますので、調査したい商品次第では、HUTを検討するのがおすすめです。
会場調査の実施方法
会場調査を成功させるには、事前の計画と準備が重要です。調査の目的に沿った設計から、参加者のリクルーティング、実施後のデータ分析まで、しっかりとステップを踏むことで、より効果的な調査結果を得ることができます。ここでは、会場調査の基本的な実施方法を順を追ってご説明します。
調査全体の設計
まずは調査の目的を明確にし、それに基づいて全体の設計を行います。調査で何を知りたいのか、どういった情報を集めたいのかをはっきりさせ、その目標に合った調査方法を決めていきます。
例えば、新商品に対する消費者の反応を知りたいのか、パッケージデザインの評価をしたいのかによって、会場調査の内容は変わってきます。ここでの設計が調査全体の基盤となるので、時間をかけてしっかり計画を立てることが大切です。
対象者のリクルーティング
次に、調査に参加する対象者をリクルーティングします。ここでは、調査の目的に応じて適切なターゲットを選ぶことが重要です。たとえば、特定の商品に興味がある層や、特定の年齢や性別、地域に住む人々を対象にすることが多いです。
リクルーティングには、SNSや広告を使った募集、リサーチ会社を通じた参加者の確保など、さまざまな方法があります。また、参加者にはインセンティブ(報酬)を用意することで、より多くの人を集めやすくなります。
調査票作成・資材手配
調査内容を設計したら、それに基づいた調査票(質問項目)を作成します。ここでの質問は、参加者が答えやすく、かつ調査目的に合致したものにすることがポイントです。あまりにも難しい質問や、複雑な選択肢は避け、できるだけシンプルに、でも核心を突く内容にしましょう。
また、調査に必要な資材、たとえば試食品や製品サンプル、筆記用具やアンケート用紙などの手配もこの段階で行います。資材が不足したり、準備が間に合わなかったりすると、当日の進行に支障をきたす可能性があるため、余裕を持って準備を進めましょう。
調査実施
いよいよ調査当日です。参加者が集まる会場では、事前に設置や準備を整え、スムーズに進行できる環境を整えます。調査員やスタッフが、参加者に対して丁寧な案内を行い、調査票の説明や質問に答える場を設けると、参加者も安心して回答できるようになります。
調査中は、参加者の反応を観察したり、必要に応じてフォローアップの質問をしたりすることもあります。特に製品の使い方や体験の流れが複雑な場合、スタッフのフォローが重要です。
データ集計・分析
調査が終わったら、次はデータの集計と分析に進みます。参加者から得られたアンケート結果やフィードバックを整理し、統計的な分析やトレンドの把握を行います。ここでのデータ集計が、今後のマーケティングや商品開発に直結する重要なポイントです。
単なる数値データだけでなく、参加者の自由記述やリアルタイムで観察した反応も併せて分析することで、より深い洞察が得られます。分析結果をもとに、製品やサービスの改良案を導き出すのが、最終的なゴールです。
まとめ
会場調査(CLT)は、消費者のリアルな反応を直接確認できるため、より深いインサイトを得ることができる効果的な調査手法です。
統一された条件で調査を行えることや、機密性の高い情報を守りながら進められる点も魅力です。また、準備や進行に細かい計画が必要ですが、得られるデータの質の高さから、マーケティングにおいて強力な武器となるでしょう。
会場調査以外のマーケティングリサーチの手法については、以下の記事で詳しく特徴やどのような時に向いているのかを詳しく紹介しています。