グループインタビューのメリットとデメリット。参加者の本音を引き出すポイントを徹底解説!☝️
公開日:2025/11/14 最終更新日:2025/11/25
複数の人を集めて意見や感想を聞く「グループインタビュー」は、製品開発やマーケティングの現場でよく活用される調査手法です。
参加者同士の会話から自然に生まれるアイデアや議論の広がりが特徴ですが、多くのメリットがある一方で、特有の課題も存在します。
この記事では、グループインタビューの基本的な概要から、メリット・デメリット、活用のポイントまでを詳しく解説します。
目次
🤔グループインタビュー(FGI)とは
グループインタビューとは、複数の参加者を同時に集めて行うインタビュー手法です。
一般的には5~8人程度の小グループで実施し、ファシリテーターが進行役として議論をリードします。
参加者同士が意見を交わすことで、互いに刺激を受けながら新たな視点やアイデアが生まれるのが大きな特長です。
個別インタビューでは得にくい「対話から生まれる洞察」を得られるため、製品開発や広告キャンペーンの検討など、幅広い場面で活用されています。
また、グループ内で自然に話題が展開されることで、参加者自身も気づいていなかった意見や感覚が引き出されることがあります。
さらに、参加者同士のやり取りを観察することで、単なる回答にとどまらず「どんな価値観や背景を持つ人なのか」まで深く理解できる点も魅力です。
そのため、グループインタビューは定性的なデータを得るための重要なリサーチ手法として広く用いられています。
グループインタビューが有効な場面
グループインタビューは、ブレインストーミングのようにアイデアを生み出す場面で特に効果を発揮します。
例えば、新商品のコンセプトを検討する際、参加者同士が自由に意見を出し合うことで、思いもよらない新しいアイデアが生まれることがあります。
広告やメッセージの反応を確認したいとき
広告やプロモーション内容について「どのように感じるか」をリアルタイムで聞けるのも、この手法の強みです。
複数人が同じ映像やポスターを見て感想を語り合うことで、多角的な評価や反応を得ることができます。
さまざまな視点を収集したいとき
参加者が年代・性別・趣味嗜好など異なる属性を持つ場合、グループインタビューによってさまざまな視点を集めることが可能です。
一人では気づかなかったり、発言をためらったりする内容でも、他の参加者の意見に触発されて「自分もそう思う」と共感が生まれやすくなります。
例えば、新しい飲料のテイスティングセッションではある参加者が「甘さがちょうどいい」と発言したのをきっかけに、別の参加者が「私はもう少し控えめな甘さが好き」とコメントすることがあります。
こうした会話の流れから、これまで見えていなかったニーズや不満点が浮き彫りになるのです。
☝️注目!グループインタビューのメリット
グループインタビューは、複数の参加者を一度に集めて意見や感想を聞く調査手法で、他の方法にはないメリットが多数あります。ここでは、代表的なメリットを5つご紹介します。
1. 多様な意見が得られる
グループインタビューの最も大きな魅力は、複数の参加者から同時にさまざまな意見を収集できる点です。
バックグラウンドの異なる参加者が集まることで、一人ひとりの視点が加わり、商品やサービスに対して多面的な評価を得ることができます。
同じ商品を見ても、「色がかわいい」とデザインを評価する人もいれば、「使いやすそう」と機能性に注目する人もいます。こうした多様な声は、次の企画や改善のヒントにつながります。
2. 参加者同士の対話で新しい意見が生まれる
グループインタビューでは、参加者の発言がきっかけとなり、他の人の考え方やアイデアが広がる場面が多くあります。
一人では思いつかないような視点でも、他者の意見を聞くことで「そういう見方もあるのか」と新しい気づきが生まれ、議論が深まります。
たとえば、「この商品のデザインが好き」という意見が出たことをきっかけに、「それならこんな使い方もできそう」と新しい利用シーンが見えてくることもあります。
3. 時間やコストが効率的
複数の参加者を一度にインタビューできるため、1対1で行うデプスインタビューと比べて時間やコストを削減できます。短時間で多くの意見を集められるため、スケジュールに余裕がない場合や、限られた予算で調査を行いたい場合に特に有効です。
4. 消費者の本音や感情が引き出しやすい
参加者同士の存在が心理的な後押しとなり、個別インタビューよりも本音が引き出されやすい点もメリットです。
誰かが率直な意見を口にすると、それに共感して他の人も「実は私もそう思っていた」と話しやすくなり、より深い感情や本音が表れます。
例えば、新商品の価格に関して「少し高い気がする」と誰かが言うと、他の参加者も「そう思っていたけれど言いづらかった」と同調し、よりリアルな意見が集まりやすくなります。
5. 観察データも得られる
グループインタビューでは、参加者がどのように他者と関わり、どんな反応を示すのかといった言葉に現れない行動も観察できます。
誰の意見に周囲が賛同しやすいのか、どのテーマで議論が盛り上がるのかなど、発言以外の情報も貴重なインサイトとなります。
こうした“場の空気感”や参加者の関係性を観察できるのも、グループインタビューならではのメリットです。
☝️注目!グループインタビューのデメリット
グループインタビューには多くのメリットがありますが、一方で注意しておきたいデメリットも存在します。これらを理解しておくことで、調査の質をより高めることができます。ここでは、グループインタビューで発生しやすい課題やリスクについて詳しく解説します。
1. 声の大きい人の意見に影響されやすい
グループインタビューでは、積極的に発言する参加者が場をリードしやすく、その意見に他の参加者が引っ張られてしまうことがあります。結果として、本来出てくるはずの多様な意見が偏ってしまう可能性があります。
例えば、ある参加者が「この商品のデザインはすごく良い」と強く主張すると、別の意見を持っている参加者も発言しづらくなるケースがあります。
2.個々の深い意見を引き出しにくい
グループ全体の意見を効率的に収集することが目的のため、1対1でじっくり話を聞くデプスインタビューに比べて、個人の深い感情や背景まで踏み込むことが難しくなります。
一人ひとりに与えられる発言時間が限られるため、表面的な回答にとどまることもあります。
3. 議論が逸れやすい
複数人が参加する場では、脱線した話題が生まれやすく調査の焦点がぼやけてしまうことがあります。
特に、興味深いエピソードが出たときや話が盛り上がったときに起こりがちです。
ファシリテーターが適切に流れを整えないと、必要なデータが得られなかったり、時間を無駄にしてしまう可能性があります。
4. グループダイナミクスに結果が左右される
参加者同士の相性や雰囲気によって、発言内容や議論の流れが変わってしまうことがあるのも、グループインタビューの特徴です。
初対面の人が多い場合、意見を控える人が出たり、逆にリーダータイプの参加者が場を仕切ってしまうこともあります。その結果、自然な意見ではなく、グループ内で形成された“なんとなくの合意”だけが強調される危険性もあります。
5. 分析が複雑になりやすい
複数人の意見が飛び交うため、得られる情報量が非常に多くなり、どの意見が重要なのか判断しづらくなる場合があります。
また、複数人が同時に話す場面では、誰がどの意見を持っていたのか曖昧になり、データ整理に時間がかかることもあります。
🖊️グループインタビューとデプスインタビューの使い分け
グループインタビューとデプスインタビューは、いずれも消費者の意見を収集するための手法ですが、目的によって適している場面が異なります。
それぞれの特徴を理解したうえで使い分けることで、より精度の高い調査が可能になります。
グループインタビューが向いているケース
グループインタビューは、参加者同士の会話を通じて多様な視点や新しい気づきを得たい場面に適しています。
- 新しいアイデアを探りたいとき
ブレインストーミングのように、会話の中で新しい発想や視点が生まれやすくなります。 - 製品やサービスの第一印象を知りたいとき
広告や商品に対する直感的な反応や、複数人の共通意見を短時間で把握できます。
デプスインタビューが向いているケース
デプスインタビューは、1対1でじっくり話を聞くことで、個々の深い感情や背景を探る場合に適しています。
- 個人の深層心理を知りたいとき
購入動機や感情面の背景など、より深いインサイトを得ることができます。 - デリケートなテーマを扱うとき
グループでは話しづらいプライベートな内容でも、1対1なら本音を引き出しやすくなります。
使い分ける際のPOINT!
調査の目的が「幅広い意見を効率よく収集する」ことであればグループインタビューが適し、目的が「個々の内面に深く迫る」ことであればデプスインタビューが適しています。また、予算や時間に余裕がある場合は、両方を組み合わせて相互に補完するのも効果的です。
👥グループインタビューの適性人数
グループインタビューの適性人数は、5~8人程度とされています。この人数は、少なすぎず多すぎず、議論が活発に進みつつも、全員が発言できるバランスを保つのに最適です。
少人数(3~4人)の場合
少人数の場合、参加者同士の距離が近く、親しみやすい雰囲気が生まれやすいという特徴があります。
ただし、その分議論が広がりにくく、特定の参加者の意見に影響されがちになることもあります。多様な意見を収集したい場合にはやや物足りないことがあります。
多人数(9人以上)の場合
一方で9人以上の大人数になると多様な意見を収集できる反面、発言の機会が限られる参加者が出てくるリスクがあります。また、話がまとまりにくくなるため、ファシリテーターの進行スキルが非常に重要です。
なぜ5~8人が適しているのか?
この人数だと、程よい活発さを保ちながら全員が話す機会を持つことができるからです。特に、参加者が意見を出しやすいような進行が行われる場合、この範囲の人数は非常に効果的です。
ファシリテーターにとっても、全体の様子を把握しやすく、流れを調整しやすい人数です。初めてグループインタビューを実施する場合でも扱いやすく、質の高い議論を引き出しやすい点でもメリットがあります。
📝まとめ
グループインタビューは、多様な意見を短時間で収集できる非常に効率的な調査手法です。
参加者同士の対話から新しい発見が生まれやすく、製品やサービスの改善にも大きく役立ちます。
一方で、声の大きい人の意見に流されてしまう可能性や、議論がテーマから外れてしまうリスクといった注意点もあります。ただ、こうしたデメリットを事前に理解し、適切にコントロールできれば、グループインタビューは非常に価値の高い結果をもたらします。
この記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ次の調査に活かしてみてください。


